コントラバスの曲を書くのはたいがい無名な作曲家なのだが、
これは有名な例外。
ヒンデミットがコントラバスソナタを書いているのだ。
コントラバスソナタって以外にないんですよ。
よく弾かれているエクレスはオリジナルじゃないしね。
ためしに、2種類以上の録音を持っているコントラバスソナタを列挙してみる。
(チェロソナタの編曲やアルペジョーネは除いた厳密?なコントラバスソナタ。)
シュペルガー ソナタホ長調※ 2種類
プロトゥ ソナタ1963 2種類
ミシェク ソナタ第1番 3種類
ミシェク ソナタ第2番 4種類
ミシェク ソナタ第3番 2種類
※シュペルガーのソナタはヴィオラとのデュエットが原曲であるという話を聞いたことがあるがここではソナタとして扱う
嘘、もっとあると思ったんだがな
まぁ、世間にはシュペルガーのニ長調やロ短調のソナタの録音はもっとあるだろうし、
ヘルトルなんかももう少しあると思うが私は1種類しか持ってなかった。
あとはモンターグ辺りが有名なのかなぁ(本当かよ)
個人的にはゲンツマーのソナタはこれから録音が増えると見ているのだが・・・
(元だっけか?)ベルリンフィルのナビル・シェハタの演奏は必聴ですよ。
Hの作曲家じゃないけど、ゲンツマーはおススメしておく
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1260300
以上にあげた作曲家の共通項。
シュペルガー ウィーン調弦の大家
プロトゥ 自分もコントラバス奏者
ミシェク シマンデルの弟子(だっけか)
モンターグ 20世紀前半のコントラバス奏者
以上のように、コントラバスソナタは自分が弾くために作られたものがほとんどなのである。少し、乱暴ではあるが作曲家としてはイマイチな方ががんばって書いてるのが多いといってもいいかもしれない。ヒンデミットはヴィオラ奏者だし、有名な作曲家なのでそんな彼がコントラバスソナタを書いてくれているのはありがたい。
けど、今まで書いてきたことの2つは嘘だな。
1、ヒンデミットは有名な作曲家である
・・・まぁ、有名ではあるよね、チャイコやドヴォルザークはては
モーツァルト、ベートーヴェンと比べると若干かすむが
ボッテシーニの100倍は有名なはずだ。
けど、ヒンデミットの曲って何がある・・・・
・・・
画家マチス
・・・
・・・
白鳥を焼く男(ヴィオラ協奏曲)
・・・
・・・
シュタルケルのチェロ協奏曲のCDがあったけどあんま聴いてないなぁ
・・・
・・・
だめだ、頭の中ですぐに曲を再生できるのは
画家マチスぐらいだ。白鳥を焼く男なんてのはタイトルが強烈にしみこんではいるが
よくはわからん。
好みの問題なのかもしれませんが、
ヒンデミットの曲が5曲以上、頭の中で再生できる人ってあんまいなくない?
ヒンデミットはまだまだマイナーな作曲家でもあるといえるとおもうのだが。
2、コントラバスソナタを書いてくれた
いや、書いてくれたのは間違いないんだよ。
多分彼(なれなれしい)の性格からして
よく取材もして書いたんだと思う。
ただ書いた動機が「コントラバスのために書きたくて書きたくて仕方がない!」
だったかといえば微妙な感じもする。
結局のところ、すべての楽器のためにソナタを書きたかった。
その過程でコントラバスにも書いたってのがある程度の本音なのかもしれない。
ラーションのコンチェルティーノもそうだよね。
どっちかっていうとヒンデミット的には
「うっ、次はコントラバスを書かねばならない!はてさて」だったのではないだろうか。
愛の歌を書くというときにコントラバスで書きたい!とか思う作曲家は奇特だわな。
どっちかっていうと大量虐殺とかそういう系の音だものな。
ただ、このコントラバスソナタは大当たりではある。
ソナタに飢えていたコントラバス奏者はこぞって取り上げているもの。
作曲家的にはこれから
コントラバスのために曲を書くと業界内ヒットの可能性は高いな。
これからヴァイオリンソナタとかでヒットを狙うのは大変だよー
フランクのソナタとかを超えるのを書かなきゃならないのだから。
しかし、茶化してきたが名曲ではある。
1、2楽章のインパクトははじめて聴いたときには衝撃があったし、
3楽章の美しさも絶品だ。(眠りの音楽らしいが)
1,2楽章は割合デジタルな曲なので個性は狙いずらいかもしれないが
3楽章はある程度いろいろな演奏があるので聞き比べ的には面白い。
しかし、この楽譜持ってるんですよ。
この曲弾いたら、絶対かっこいいよなぁと思って。
ただ
ハ音記号がよめねぇ
この曲はハ音記号にぴったりの音域なんだよねぇ
どうしてもはハ音記号がすらすら読めないんだよ。
ト音記号にして欲しい・・・
クーセヴィツキーの小さなワルツもハ音記号なんだけどあの曲は覚えやすいじゃない。
エクレスの4楽章もハ音記号だけど割合覚えられたのよ。
どうしてもヒンデミツトはハ音記号に抵抗があってさらえないんです。
あとは3楽章・・・
縦線引かなきゃリズムがわかんねぇよ
うーん やっぱりヒンデミットは身近とはいえないのかもしれないなぁ。
ヒンデミットは聴いて楽しむことにしよう。
この曲に関しては、河原泰則盤、フルトーク盤、Edwin Barker盤あたりが正当なので
そこらから入って、ゲーリーカーの濃厚な3楽章に笑うってのがおもしろい。
ゲーリーカーも癖になる演奏ではあるが
この場合は異端だよなって思う。
他の3種類は
河原盤 背筋がぞっとする冷たい音色
フルトーク盤 まちがいなくうまいよね、個性には乏しいか?
Edwin Barker盤 叙情的で美しい
それぞれにおすすめだが河原盤が一番手に入りやすいか。