今回は珍しいミシェクのソナタ第3番が収録されているCDに関して。
まずはこのCDの曲目を見て欲しい
(1) Christopher Benstead:Four episodes
(2) Giovanni Bottesini:Elegy
(3) Adolf Misek:Sonata 3
(4) Karel Reiner:Sonata
(おなじみhttp://www.geocities.com/Tokyo/1471/bass_cd_j.html?200628より引用)
ボッテシーニのエレジー以外全く聴いたことのある曲がない!!
ただでさえ、コントラバスの曲はマイナーなのに
その中でもさらにマイナーな選曲をするなんて
こんなCDが売れるはずがないではないか!
(といいつつ購入してしまった私。)
このCDではミシェクのソナタ第3番が入っているのがポイント。
ミシェクのソナタといえば、第1番から第3番まであり、
ボッテシーニ、グリエール、クーセヴィツキーさらには
ヒンデミットのソナタに比べるとどうしてもマイナーではあるが
比較的メジャーな曲と言えるだろう。
ミシェクのソナタは全体的にコントラバスの曲!っていうよりは
正当派のソナタで技巧的も難度が高そうである。
かめばかむほどいい曲かもしれないと思うのだが
一聴しただけではコントラバスで弾くことの難度が耳に付き、
親しめないのではないだろうか。
それでもソナタ第1番とソナタ第2番はかなりの数の録音がある。
なのに第3番は私が確認している限り、
このCDとniederhammerによる録音(未聴)しかない。
原因はその調整にあるのではないか。
ソナタ第1番はイ長調 おそらく記譜はト長調
ソナタ第2番はホ短調 おそらく記譜は短調
ソナタ第3番はへ長調 おそらく記譜は変ホ長調・・・
ト長調とニ短調は弾きやすいが変ホ長調はコントラバスの曲の調整としては
どうなのだろうか?
このことが録音の少なさを生んでいるのかもしれない。
さて、録音の内容。
ボッテシーのエレジーがしっとりとした素晴らしい演奏。
楽譜に()書きでかかれているE線(Fis線)の音域を使っているのは
特筆する点である。良い演奏。
そしてミシェクの第3番。
ピアノの音が割れてしまっている点を除けばなかなか地味ながらも
いい雰囲気を出している。ミシェクの3番もいい曲だと思う。
ただ、この録音で謎が一つある。
ここでは3楽章までしか演奏されていないのだが
niederhammer氏の演奏は4楽章まで演奏している。
また、以前リサイタルで聴いた文屋氏も4楽章まで演奏している。
何故、このCDでは3楽章までしか演奏していないのか?
確かに3楽章で終わってしまっても不自然ではない。
楽譜に複数の版があるのだろうか?
それとも奏者が4楽章は弾く価値がないと判断したのだろうか?
謎である。
ミシェクの3番はこういうこともあり謎の作品といえるだろう。
Karel Reinerのソナタは冒頭部の粗暴な部分が
印象に残るが全体的にはおもしろい作品だとは思えない。
このCDはミシェクのソナタ第3番愛好家にはたまらない物があるが
3楽章までしかない点は不満が残るかもしれない。
この奏者、エレジーを聴く限り上手いのだが
なにせ選曲が超超マイナーすぎるので一般的にはとてもすすめられない。