河原泰則の5枚目のCD。6月に発売された。
国内版なのでどこでも買えるがとりあえずHMVのリンク
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2578016
河原氏は私の住む南東北出身なので身近な存在である。
3回リサイタルに行った。
(本当はもう一回チケットを買ったのだが当日、用事で行けなかった。)
河原氏のCDは全部持っているがイマイチ好きになれなかった。
ゲリーカーの濃厚な節回しの影響だろう。
さて、今回のCDの目玉はボッテシーニのパッショーネアモローザである。
この曲が国内版のCDに収められたことにより
ヴァイオリンとのデュオコンチェルトとして普及する事を望む。
個人的にはヴァイオリンのデュオではグランデュオよりこの曲の方が好きなので
国内版で多くの人の耳に触れるというのはうれしいことである。
「パッショーネアモローザ」は多数の録音がある。
このパッショーネアモローザは原曲は2本のコントラバスのための曲だが
チェロとコントラバスのデュオ、ヴァイオリンとコントラバスと
様々な形態が取られる。
尚、以前も述べたがパッショーネアモローザは通常3楽章の構成だが
1楽章の前にロッシーニの主題による幻想曲の一部を取り入れ4楽章になることも多い。
また、パッショーネアモローザとほぼおなじ構成を持つが
コントラバス独奏用の曲として
コンチェルトディブラヴーラ(現在録音を2種類確認)という曲もある。
(ボッテシーニの協奏曲第1番や協奏曲第3番という表記がされることもあるが
一般的には協奏曲第1番は嬰ヘ短調の協奏曲を指す。)
前置きが長くなったがパッショーネアモローゼの録音は
河原氏以外に現在7種類所有している。
割合どれも手にはいるので河原氏で興味をもったかたはどうぞ。
(特にフルトーク盤は必聴 ゲリー盤はファンにはたまらない異常な演奏。
笑っちゃうぐらい濃厚な演奏とピッチの悪さから来る混沌、私は大好き)
マッシモ・ジョージ Vnとのデュオ 情熱的な熱演
シュトール Vcとのデュオ 旋律がハッキリしない イマイチ
リーバー Vcとのデュオ 優雅な演奏 情熱はあまり無い
ギュトラー&シュトール Cbとのデュオ 重低音がゴリゴリ・・・悪くない
フルトーク Cbとのデュオ 奇跡の名演 3楽章の軽さには驚愕する
ヤルダーニ Cbとのデュオ 特筆なし イマイチ
ゲリー・カー Cbとのデュオ 異常な演奏 濃厚な音と遅いテンポ
でこれだけ録音があってもヴァイオリンとのデュオはあまりないわけである。
河原氏の演奏と同じヴァイオリンとのデュオのマッシモジョージの演奏を比べてみたい。河原氏の演奏は以上に高速なテンポと安定したテクニックが素晴らしい。
ただ、パッショーネアモローゼというタイトルらしい演奏なのは
マッシモジョージ盤である。また、2楽章後半の分散和音を
マッシモジョージ盤はコントラバスのフラジオが担当しているが
河原盤はヴァイオリンが担当している。
(所有しているドブリンガーの譜面ではヴァイオリンが担当する。)
これは完全に好みだがコントラバスのフラジオの方が好み。
(以前 友人とこの曲を演奏したことがあるのだが
ドブリンガー盤を使いつつもその部分はコントラバスのフラジオで演奏した。
尚、ドブリンガーの譜面は素人でも分かる間違いが大量にあるんで
使用の際は注意が必要。)
ただ、総合的な出来で見ると河原盤が圧倒的に上だろう。
久しぶりに素晴らしいCDがリリースされたものである。
他にグランデュオ(ピアノ伴奏版)が収録されている。
グランデュオコンチェルタンテは山のように録音があるが
河原氏の演奏はかなり軽くて、アンサンブルを楽しんでいる演奏。
なかなかフレーズの崩し方がおしゃれ。
グランデュオのライブ盤は
文屋充徳盤、ゲリーカー盤を所有しているが
以上二つの演奏はオーケストラ伴奏なので圧倒的な迫力が素晴らしい。
河原盤は迫力では劣るが一聴の価値はある。
しかし、パッショーネアモローゼの方が完成度は高い。
後はG線上のアリア(必ず?リサイタルのアンコールで演奏される。
以前のリサイタルではトロイメライだったけど。)とかフォーレのエレジー、
ヘンデルの協奏曲が収録されているが
河原氏の歌う演奏って好きじゃないんだなぁ。
こういう作品はゲリーカーの方が歌心にあふれてる。
河原氏はその圧倒的なテクニックが素晴らしい。(グリエールのタランテラ等)
収録曲が少なく国内版ので値段も高いのがやや傷だが
パッショーネアモローゼのファーストチョイスとして聴いてみてほしい。