今回紹介するのはウィーンのコントラバス協奏曲というCDである。
以下の商社がヤフーオークションに3品出品していたのを購入。
(3月18日現在 ヤフーオークションでまだ1品出品されている。
http://www.eurojapantrading.com/
(レーベルはARSレコード ARS 38 020
ARSレコードは取りあつかっているショップが多いので
問い合わせれば購入できるかもしれない。)
SACD(ハイブリッド)なので値段が高いのが難。
ウィーンのコントラバス協奏曲といっても
ウィーンフィルの奏者が演奏しているのではなく
ウィーン調弦で演奏しているのである。
知識が足りないので詳しい説明はできないが
ウィーン調弦とは下からF−A−D−Fis−Aという調弦であると
ブックレットには記されている。
(このCDの奏者は5弦の古い楽器を演奏している模様。)
18世紀は新しい響きを求めてコントラバスの独奏楽器としての
可能性を模索されていた時代があった。
まぁ、ブームだったのだろう。
ブックレットにもハイドンを筆頭に
ピフル、コハウト、ディッタースドルフ、Kampfer、ツィマーマン
ヴァンハル、ホフマイスター、Roslaub、シュペルガー、ヒンドゥル、そして
モーツァルトのバスアリア(この麗しい瞳と手のために)といった
作品があったと紹介している。これらの作品の多くには
ウィーン調弦が用いられていたようだ。
(上記でKampfer、Roslaub、ハイドン以外の協奏曲は
録音が存在する。ハイドンの協奏曲は消失したことはあまりに有名。
ヒンドゥルだけ廃盤になってしまい
購入し損ねたので譲ってくれる方を探しています。
奏者はニーダーハマー(niederhammer))
昔、ヴァンハルだのディッタースドルフの譜面を見て
大昔の人がこんな難しい曲が弾けたのかなぁと思ったのだが
つまりはウィーンチューニングで演奏されていたのである。
現在はウィーンチューニングではないので弾きづらいのだ。
ただ、ウィーンチューニングなら楽々弾けたのかというとそういうわけでもなさそうだ。
なぜなら、この録音のヴァンハルの協奏曲の3楽章を聞いてみると
至る所に普通のチューニングでは録音されていない
重音やアルペジオの嵐があるし、テンポも速い。
素早いパッセージでの重音には正直感動した。
ヴァンハルは録音も多いがこんなにもダイナミックな曲だったのかと
初めて知った気がする。
つまりはニ長調版だろうがホ長調版いくらグルーバーのカデンツァがあろうが
今のヴァンハルは元来の魅力とは違うものなっているのである。
それを発展というか妥協というかは軽々しくいえないので
ここでは述べない。
ただ、このウィーン調弦ヴァンハルを聞くとシュトライヒャーもトゥルンプも何か
迫力に欠けるような気がしてならないのもまた事実である。
このCDには他にピフルとホフマイスターの協奏曲が収められている。
ホスマイスターの協奏曲はギュンタークラウスの録音した第1番とは違うものである。
ピフルもないわけではないが珍しい録音だといえる。
全体的な印象としては
奏者の腕や録音状況もあるのだろうが
音が細くて小さい印象を受ける。そして、アルペジオや重音などを
おこなうギターのような楽器だったのだなという印象を受ける。
また、古楽器による演奏だが随所、派手な演奏で
いかにも古楽器〜という「退屈な」演奏ではない。
尚、ヒンドゥルが初めて4度調弦のための協奏曲を書き、
その後のボッテシーニなどによりコントラバスからはウィーン調弦は廃れていった。
今後、ウィーン調弦のための曲はウィーン調弦で弾くべきだとは
全く思わないが、ひとつの側面として
ウィーン調弦の魅力をしるのもおもしろい。