じつは私は天下のコントラバス教本シマンドルをやったことがない。
昔、吹奏楽でコントラバスを始めたとき先輩もいなく、
楽器倉庫の奥にあった誰も使っていなかった
コントラバスを「はいやってね」といった感じで渡され、
茫然自失とやっていた頃がある。
その時、部室にあった教本がシマンドルだったのだが
さっぱり理解不能だった。独学であれを理解するのは不可能だろう。
半年後、さんざん悩んだ結果これではうまくならないと思い、
レッスンにつくことになった。
当たり前だがそんな状況の独学では何もやっていないと同然なので
一からやり直すことになったのだが
その時教本を買うことになった。
その時の記憶は定かではないのだが
「シマンドル=理解不能」の先入観があったので
松野茂氏の教本を使う事に決まったときにはほっとした記憶があるような気がする。
(「シマンドル=理解不能」の固定概念はその後も続き、
ハイポジションの教本を探したときあえてシマンドルを避けて
シュトライヒャーの教本を選んだのだが
レッスンについていた先生にそんな難しい教本を選んではだめだと言われ
結局、シマンドルを買った。
なので、厳密にはやったことはないのはシマンドルの1巻で
2巻はかじったことがある。)
松野茂氏の教本はamazonで購入可能
(私が持っているのは表紙が昔のタイプなのだが、
昔のタイプの方がかっこいいと思う。)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4810887529/sr=8-1/qid=1161518039/ref=sr_1_1/503-1981624-7525519?ie=UTF8&s=books
この教本の最大の特徴は、コントラバスの歴史が載っているところである。
ここを読んだおかげでドラゴネッティとベートーヴェンの関係を
知ることができた。
「クーセヴィツキーの作品はコントラバス奏者なら必ずやる」みたいな文があって
将来、そんな(謎の)作品を弾く機会なんかあるのかなぁと当時は思っていた。
けれど今はコントラバス協奏曲などの譜面を所有してる。
当時は自分のこんな姿は想像できなかったな。
(まぁ、クーセヴィツキーなど今でもちゃんとは弾けないけれど。)
この教本、なかなかいい練習曲が多いような気がするのだが、
まぁ、きっとシマンデルの方が正当な教本なのだろうなと思う。
けれど、それらの練習曲のおかげで独奏曲にも興味を持てた気がする。
ただ、この教本の難点はポジションの名前がいい加減(?)なのである。
いわゆるハーフポジションがこの教本では「第1ポジション」という名前になっており
第1ポジションが「第2ポジション」という名前になっている。
おかげで今でも正しい(?)ポジションの名前がいえない。
さて、松野氏の教本を買ったとき、
後ろの魅力的な練習曲があった。
一つはゴセックのガヴォットでヘ長調の2オクターブの音域を要する曲であった。
いまではなんて事まいが(厳密にはどうだか知らないが)
はじめたばかりの私にはまさにボッテシーニ級の難局だった。
すごい長い前置きになったのだがこのゲーリーカーの「コルニドライ」には
このゴセックのガヴォットが収録されている。
調はニ長調であるが。松野茂氏の教本をやっていた私には
とても魅力的なトラックである。
このゴセックの魅力を語るのに長い話になったので
残りの曲についてはまた次回。